個人再生とは、裁判所を通じて借金を減らし、残りを分割で支払っていく手続きです。 以前からある「民事再生」と同じものですが、民事再生はどちらかというと法人向けの制度で、個人には使いにくいものでした。そこで平成13年に施行された「民事再生法」で、個人向けの民事再生制度、個人再生がスタートしました。これにより、借金で経済的に窮地にある人たちが、破産することなく、借金を整理して、生活を再建することができるようになりました。
自己破産をすると借金はなくなりますが、持ち家の人は家を失うことになります。土地などの換価可能な財産も失うことになります。宅地建物取引主任者や警備員、弁護士、会社の取締役といった職業の人は、その仕事を続けることができなくなります。そんな人が利用できる破産によらない借金返済(整理)の方法が、個人再生なのです。
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個人再生は個人のための制度なので、会社の場合には一般の民事再生をすることになります。会社が民事再生の申立をしたときと破産をしたときの一番大きな違いは、経営者がそのままその職にとどまれるかどうかということです。破産すると会社の役員にはなれないので、個人で会社を経営している人で、自分が社長でないと絶対に困る場合は、民事再生の制度を使って借金の返済を続けるのが良いでしょう。
個人再生が使えるのは、文字通り個人で、その申立資格は以下のようになっています。
さらに、一定の収入の見込みがあって、継続して減らしてもらった借金を返していける必要があります。個人再生では借金は減らしてもらえても、なくならないので、今の借金の返済額を減らしてもらえれば、生活が成り立つかどうかが、自己破産をするか個人再生を選ぶかの違いになると思います。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者再生の2種類があります。小規模個人再生は主に自営業者に(会社経営者を除く)、給与所得者再生は主に会社員に適用されます。
小規模個人再生の条件は、住宅ローンなどを除く負債額が3,000万円未満で、「継続的にまたは反復して収入を得る見込みのある」こととなっています。手続き内容としては、一定の期間(3年以内)に一定の額を返済する再生計画案を裁判所に提出し、債権者決議、裁判所の認可を得て再生することになります。
再生計画案が可決されるためには、債権者の反対が2分の1以下で、債権額が債権総額の2分の1以下であることが必要となります。
一方、給与所得者再生は、上記の小規模個人再生の条件に当てはまる人で、給与などの定期的な収入の見込みがあり、かつその変動幅が小さいと見込まれる人が利用できる制度です。変動幅の目安としては、20パーセント程度であると考えられています。そのためあまり収入の安定していない人は、この制度は使えません。
給与所得者再生には、小規模個人再生にはない以下のような利点があります。
「可処分所得に応じて...」というのは、つまり収入から最低生活費を差し引いた可処分所得に基づいた弁済計画案で良いということです。ただし、法律で定められた最低弁済額というものを満たす必要があります。可処分所得で弁済額が決められ、それに債権者の同意も不要なので、給与所得者再生は、債務者にとても有利な再生制度であるといえます。
個人再生の手続きは、自己破産に比べると簡単で迅速です。具体的には次のようになります。
裁判所に個人再生の申立をすると、審尋期日が1ヵ月後くらいに指定されます。そして審尋後にすぐに開始決定がなされます。開始決定がなされてからは、2〜3ヶ月後に再生計画案の提出期限が指定され、その後債権者の書面決議が(小規模個人再生の場合)あります。再生計画の認可は、再生計画案提出後、約2ヶ月でおります。
個人再生の手続きの流れ
裁判所に申立
↓開始決定
↓債権調査期間 財産目録・報告書提出
↓再生計画案提出
↓再生計画案の決議(小規模個人再生の場合)
↓再生計画案の認可決定
手続きは以上のようになりますが、裁判所に提出する書類は自己破産と違い、これから残った借金を返済する能力があるかどうかをよくチェックされます。お金の流れ、生活態度なども調べられます。実際に用意する資料とか、細かい手続きや注意点などは、上の写真の本個人再生・破産のことならこの1冊 改訂版―最新負債整理入門 (はじめの一歩)に非常に詳しく解説されています。
個人再生の最大のメリットは、自宅を手放す必要がないことでしょう。住宅ローンが残っていても、手放す必要はありません。また、自己破産と違って資格制限がないので、個人再生を行っても、警備員とか保険の外交員とか、会社の役員といった仕事をそのまま続けることができます。
個人再生では、住宅ローン以外の借金が、大幅に減額されます。具体的な減額率は以下のようになります。
こうして減額してもらった借金には、今後利息はつきません。そしてこれを3年以内に返済していくことになります。特別な事情がある場合は、最大で5年まで延長してもらうことが可能です。
また個人再生は、債権者全員の了承は必要ないため、再生計画に反対した債権者も、決定された再生計画に従わなくてはなりません。なので、再生計画に反対した貸主の借金も減額されることになります。
また、自己破産はそう何度もできるものではありませんが、個人再生なら自己破産した人でもいつでもすることができます。
個人再生をしたことは、勤め先に知られることはありません。また、個人で商売をしている人は、そのまま仕事を続けることができます。
自己破産では規制されている引越しも自由に行えます。
個人再生を使うと、住宅ローンの支払いが滞って、競売に付された自宅の競売を止めることができます。住宅資金貸付債権の特則という条項があり、ローン残金の一括支払いを待ってもらったり、この特則を含む再生計画に従って弁済することにより、自宅にずっと住み続けることが可能になります。この住宅資金貸付債権の特則を使った場合、最大で10年支払い期限を延長することができます。ただし、70歳までに完済する必要があります。
個人再生のデメリットは、自己破産のように借金がなくならないこと。大幅に減額されますが、支払いの義務は生じます。また、裁判所で決められた再生計画は、判決と同じ効力があるので、支払いは必ずそのとおりに行う必要があります。支払いが滞ると、債権者によって、給料の差し押さえなどをされる恐れがあります。
このほかの個人再生のデメリットは、他の借金整理法と共通する部分がかなりあります。いわゆるブラックリストに載るため、今後5〜7年は、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできなくなります。それに、連帯保証人がいる場合には、その方に今度は自分の借金の支払いの義務が生じることになります。連帯保証人がいる場合には、その人と弁護士などの専門家とよく相談して、借金の返済(整理)方法を考える必要があります。
個人再生に限らず、借金の返済法についてはいろいろな制度があり、提出書類や法律のこと、連帯保証人のことなど、考えなければならないことがたくさんあります。次は、そんな借金の相談は誰にすれば良いかを述べたいと思います。
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再生計画は必ず守ること
個人再生は、裁判所で決定された再生計画に基づいて、 大幅に減額された借金を分割払いで返して行くことになります。
裁判所での審尋でも、 今後きちんと弁済を継続していけるかどうかを良くチェックされます。
が、なかなか生活態度が改まらず、返済が滞りがちになる人がときどきいます。 そうなると給料等の差し押さえの可能性も出てくるし、今度また支払不能に陥ったら、 自己破産しかありません。
自己破産してしまったら、 今まで弁済してきた分のお金がムダになってしまいます。 もう二度と借金生活をしないよう、しっかり心に決めましょう。
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