お客様を喜ばせているか?マーケティング理論の盲点
インターネットでの販売というものは、歴史がまだ10年余りと短いこともあるためか、昔からの商いの視点というより、アメリカ仕込みのマーケティング理論が幅を利かせている部分がかなりあります。お客様の目を引くキャッチコピー、セールスレター、ステップメールの活用などなど。そうしたものが必ずしもいけないということはないのですが、何か大切なものを忘れていないか?それを思い出させてくれるのが、最近読んだ本、繁盛したければ、一等地を借りるな!―売れる店には、理由(ワケ)がある です。
過激といえば過激なタイトル。「一等地を借りるな!」というのは、一等地を借りたら繁盛できないとか借りてはダメだということではありません。一等地を借りてしまうと、お客がだまっていても入ってくると思って工夫や努力をしなくなる。お客様の視点で考えることができないために結果的にうまくいかなくなる。それに一等地は家賃が高い。だから家賃のために働いているような感じになってしまう。大家に高い家賃を払うより、従業員やお客様に利益を還元した方がはるかに良い結果を生むと著者は言っています。
著者の清水克衛氏は、東京の江戸川区・篠崎というところで「読書のすすめ」という本屋を経営している人です。東京とはいえここは交通の便の悪いところで、人がたくさん集まるような場所ではありません。しかし、そんな場所でも清水さんは、自分のお店を繁盛店にすることに成功しています。清水さんのお店には他県からも、なんと沖縄から来る人さえいるということです。
清水さんのお店の何がそんなに人を引き付けるのか?
一言でいえばそれは、清水さんがお客様を喜ばせることを常に考えて行動しているからです。
「読書のすすめ」の店内には、販売している本を紹介するとてもユニークなポップ(POP)が並んでいます。
たとえば、次のような内容のポップです。
- 申し訳ございません。
この本は女性の方にはお売りできませんので
ご了承下さい。店主
- 男性は36ページ
は絶対、読まないで下さい。 - 最古刊
「最古刊」というのは、一番古い本ということ。「最新刊」というのは良く見ますが、最古刊はまず見ないポップです。
ただこの本、ポップのうまい書きかたを解説する本ではありません。ポップはあくまでいろいろある手段の一つに過ぎません。他の店ではやらないこと。できないこと。お客様のためになること。お客様が求めること。そうしたことを考えて実践することが大切だと清水さんは言います。アメリカ仕込みのビジネス的な商売ではなく、日本の昔からの商いの心を大切にしているといえるでえしょう。
清水さんのお店では、「お客さんにはその本ではなくてこっちの方がいいですよ」みたいなことも言うのだそうです。そうして自分の今の状況を変えるのに役立つ本を紹介してもらったお客様の中には、涙目で御礼に来る人もいるのだとか。
ただ、お客様を喜ばせるといっても、それはお客に媚びへつらうということとは違います。わがままを言う客は、清水さんは相手にしない。たとえば、「アマゾンならすぐ届くのに、なんでお宅はそんなに時間がかかるんだ」というお客がいます。そんな人には、「でしたらそうちらで買ってください」と言うのだそうです。文句を言うお客に時間やエネルギーをかけるより、お店を応援してくれる人、喜んで買ってくれる人にそれをかけた方がずっと良いはず。自分のモチベーションを保つためにも、売上を上げるためにも。
マーケティング的なことも必要ではあります。しかし、ネット上で良く言われているのは、販売者が儲けるための、お客に売りつけるための技術としてのマーケティングです。そうではなく、お客様がどうやったら喜んでくれるかを考え、実行すること、そちらの方がずっと重要だと清水さんは本の中で述べています。
実店舗だったら、来たお客様の反応を直接見ることができるわけですが、インターネットの店舗の場合はそれができないため、どうしたら良いかわからないと感じるかもしれません。でも、インターネットショップでも、できることはいろいろとあると思います。
たとえば次のようなことを実践するのです。
- 売り込みのための商品の説明以外の情報を充実させる
- 業界の裏情報を書く
- お店がコンセプトにしている分野の、詳細で深い内容の記事を、サイト内に書いたり、メールマガジンとして発行する
- 時には業界の他社を敵に回しても、消費者の利益になることを書く
こうした努力を積み重ねると、お客様の反応がしだいに良くなってきます。
そうしたサイトの情報を充実させることの他にも、次のような方法もあります。
- メール便を使うなどして、できるだけ安い送料で発送できる方法で商品を出荷する
- 梱包を丁寧に行う
- 注文の当日や翌日に出荷するなど迅速な出荷を心がける
- お客様の都合を出荷前に確認して、到着日や時間をして出荷する
こうしたことは、顧客満足度を向上させ、リピーターになってくれる確率を高めます。派手さはないですが、お金をそれほどかけずに、顧客満足度を上げる、つまりお客様を喜ばせることができるようになります。少しずつではなるとは思いますが、売上が増えていくでしょう。
ここにあげた以外のことでも、お店の状況に合わせていろんなことが考えられるのではないかと思います。本に書いてある清水さんのお店の事例が、そのまま役に立つかもしれません。少し応用することで、お客様を喜ばせられるようになるかもしれません。本の最後には、付録として、清水さんのお店で使っていて、とても効果を上げているポップの文章が掲載されています。商品のキャッチコピーに応用できるかもしれません。
いろんなヒントがいっぱいの本なので、繁盛したければ、一等地を借りるな!をぜひ読むことをおすすめします。
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2009年12月19日 コメント&トラックバック(1) | トラックバックURL |
カテゴリ: 経営
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はじめまして。僕はウェブサイトのコンサルティングをしているものです。
記事を拝見して、ウェブがアメリカの流れを組みすぎているというのは、
本当にそう思います。
そういう観点から言うと、僕は安易なSEO対策は不要だという立場でして、
それよりもいかにユーザーの問題点を解決するコンテンツを提供するかと
いうことにウェブサイトのオーナーは注力するべきだと考えています。
具体的には、ブランディングを高めて行くことこそが大事で、その為には
斉木様がおっしゃることを実行することだと思います。僕は、お客さんには
サイトのファンを作ろうということをよく言いますが、その為には斉木様
が仰るお客様目線でサイトを運営することですよね。
いや、ものすごく僕が日々考えていることをおっしゃってくださり、
大変すっきりしました。これからも頑張ってください。